バレット食道

バレット食道について

逆流性食道炎食道と胃の粘膜は本来違う種類のものですが、胃酸の逆流などによる炎症のため、一部の食道の粘膜が胃の粘膜のようになってしまう状態をバレット食道と呼びます。
バレット食道はよくある疾患です。胃カメラ検査を受ける方の約20%にみられ、さらにその中でも広範囲に粘膜変化がおきるLSBE(Long Segment Barrett Esophagus)は全体の0.4%の方で認めます。
バレット食道(特にLSBE)はバレット腺癌という食道がんのリスクが高いため、定期的な胃カメラ検査を行い、食道がんができていないか確認することが大切です。

バレット食道の原因

バレット食道の多くの原因は逆流性食道炎です。胃酸が食道に逆流することで、食道の粘膜が傷つき、一度回復し、また逆流して傷つく。これが繰り返されることで、食道粘膜が胃酸に耐えられるように胃の粘膜のように変化してしまいます。

逆流性食道炎について

バレット食道の症状

バレット食道そのものは自覚症状がありません。しかし、バレット食道を引き起こす逆流性食道炎によって、胸が詰まる、胸焼けなどの症状が起こることがあります。
範囲の広いバレット食道であるLSBEは食道がんのリスクが高くなることが知られています。LSBEは日本ではまだ少ないですが、欧米ではバレット腺がんが急速に増加した原因になっています。

バレット食道の検査

診断は胃カメラ検査で行います。粘膜変化の範囲も確認します。
粘膜変化の少ない順に、バレット上皮 → SSBE(Short Segment Barrett Esophagus) → LSBE のように分類します。

胃カメラについて

バレット食道の治療

変化してしまった粘膜を元に戻す方法はなく、バレット食道自体の治療はありません。大切なことは、食道への胃酸逆流を少なくし、進行・拡大させないことと、食道がんの発生にいち早く気付き、早期の段階で治療することです。逆流性食道炎がある方は、その治療を行います。定期的な内視鏡検査フォローも大切です。