アニサキスについて
アニサキスの症状
胃アニサキス症
胃壁にかみついて発症するタイプです。アニサキスが寄生したものを食べてから、数時間~数十時間ほど経過して生じます。典型的には激烈な胃痛が突然おこります。この痛みは一度、おさまっても再発する傾向があります。
胃のアニサキスは胃カメラ検査で、虫体をつまんで取りのぞければ、速やかに症状が解消されます。
腸アニサキス症
アニサキスが胃を通過し、小腸でかみつくタイプです。突然の激しい腹痛が特徴です。摂取後、十数時間〜数日など時間が経ってから突然発症します。胃の場合と違い、胃カメラでは小腸まで届かないため、直接取りのぞくことができません。また、アニサキスに嚙みつかれた小腸がむくんでしまい、腸閉塞や腸穿孔などの重篤な合併症を引きおこすことがあり注意が必要です。
アニサキスアレルギー
「死んだアニサキス」が悪さをすることもあります。アニサキス自体にアレルギーのある方は、アニサキスをしっかりと処理したあとでも、アレルギー反応により、蕁麻疹などが生じます。重症の場合、血圧低下や呼吸困難などの命に係わるアナフィラキシーショックがおきる場合もあります。
アニサキスの検査
典型的な症状や、食事歴からアニサキス症を疑えば、胃カメラを行い、アニサキスを取りのぞくことを目指します。
アニサキスが小腸に噛みついている場合は、胃カメラは意味がなく、レントゲン検査や血液検査を行います。重症度によっては、精査のためにCT検査が必要な場合もあります。
アニサキスの治療
アニサキスは人間の体内に寄生して生き続けることはできません。そのため、放置していても数日~一週間程度で死んでしまいます。しかし、症状が激しいことや、放置しておくと重症化するリスクもあるため速やかに治療することが望まれます。
アニサキスが胃にいれば、胃カメラで取り除くことで、速やかに症状が緩和されます。腸などに進んでしまい、内視鏡では取り除けない場合は、アニサキスが死ぬまで薬を使って症状を緩和させます。残念ながら薬でアニサキスを退治することはできません。
アニサキスへの感染を防ぐために
アニサキスを処理するためには60℃以上で1分間の加熱、マイナス20℃で24時間以上の冷凍が必要です。魚を酢でしめてもアニサキスは死にません。そのため、予防のためには冷凍され、解凍されたものを食べるようにしてください。またアニサキスは肉眼でもみえる大きさのため、プロによる処理されたものであれば感染のリスクは非常に低いです。
アニサキスアレルギーの方は、完全にアニサキスを取り除いたものであっても、アレルギー反応を引き起こす可能性があり、アニサキスがいる可能性がある魚介類の摂取を控えてください。